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単行本

アジアにおけるデジタル化、貿易、地政学

本書『アジアにおけるデジタル化、貿易、地政学』所収の論文は、コンラート・アデナウアー財団(KAS)「アジア経済政策プログラム(SOPAS) 」による出版物 であり、デジタル化によって貿易や国際経済に関する我々の理解がいかに変化しつつあるかを調査する。そしてデジタル化が、生産、消費、貿易パターン、国内および多国間の規制の枠組み(地域自由貿易協定で合意されたものも含む)に与える影響を評価する。また、経済主体(例:WTO、多国籍企業、デジタルプラットフォーム)の進化しつつある役割と構成を考察し、電子商取引や新しい技術(すなわちブロックチェーン)を巡る問題について検討する。

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序論

世界は、徹底的なデジタル化に対する地球規模での突然かつ早急な適応を目の当たりにしている。このプロセスは何年も前から始まったが、現在の凄まじく早いペースは、少なくとも2010年代の半ばまでは予想されていなかった。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によって、世界はまだ備えができていない未来に向かっている。この状況はアジアも例外ではない。しかし、多くのアジアの国々が講じた、こうした新しい現実に対する迅速な対応策で明らかなように、この地域は変化の影響への備えができている。特にロックダウン(都市封鎖)政策によって物理的な移動や取引が実質的に停止した状況からすると、デジタル化がこれほど確固たる基盤をなしていなければ、パンデミック(世界的大流行)によって各国はさらに甚大な損害を被っていただろう。

 

本書の一連の論文は、アジアにおけるデジタル化について、パンデミック以前の状態に加えて、ある程度まではパンデミックの渦中での状態について、概要を示している。アジア地域の学者や実務家が著した論文は、アジアの国々がいかにデジタル化に備えてきたかを理解する際に、貿易、国内取引、企業、産業および労働力、地域的な調整、地政学的影響、各国の対応といった側面から豊富な情報を与えてくれる。概して、本稿の論者は、デジタル化のプロセスを統治する地域的な枠組みを備える必要性については基本的に意見が一致している。地域的な枠組みが必要なのは、主として、デジタル化への準備の度合い、開放性、資本、デジタル化によって生じうる利益と損失を管理する制御能力に、各国で違いがあるためだ。

 

本書の構成は次の通りである。

• デジタル貿易の時代における戦略的貿易政策:アジアへの影響 ジウェイ・チェン

• グローバル・バリューチェーン、デジタル化、デジタル・レディネス:アジアの中小企業に着目した企業レベル分析 ウッパラット・コーワタナサクン

• アジア・太平洋地域における貿易金融とブロックチェーンの使用 セイオン・レイ

• 労働とデジタル貿易の容易ならざる関連 ロヘリオ・アリコル・パナオ

• アジア・太平洋地域のデジタル貿易 デボラ・エルムズ

• 南アジアの貿易パターンにおけるデジタル化の影響 アシヤナ・アディカリ

• デジタルシルクロードに沿ったデジタルインフラの開発:デジタル貿易とそのセキュリティリスクのバランスをとる方法 ヨンキュー・キム

• インドの越境電子商取引の枠組み シャルミラ・カンタ

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担当者

ペレズ・ クリスティタ・マリー

Cristita Marie Perez KAS

シニアプログラムマネージャー、アジア経済政策プログラム (SOPAS)

cristita.perez@kas.de +81 3 6426 5041

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