月刊丸/アフロ
日本の内政と外交および安全保障との関係を分析するには、真逆ともいえる2つのアプローチがある。一つは歴代の政治指導者や内閣に焦点を合わせ、それぞれがどのような政治信条を掲げ、政策を組み立ててきたかを追いかける方法である。この方法を演繹法とするなら、もう片方は帰納法である。これは、まず、日本が外交・安全保障上、外部からどのような「衝撃」を受けてきたのか、次に、そうした衝撃に日本の内政や国内世論がどう反応し、どのような対策を政府に求めてきたのか、そして、それが歴代内閣の外交・ 安全保障政策をどう動かしてきたのか、というような順番で日本の対外政策のプロセスを解き明かす方法である。
このうち、筆者は二つ目のアプローチをとる。なぜなら、日本はあらかじめ固定的な戦略観を描き、それに沿って政策を組み立てる国家ではないからだ。むしろ、外部からもたらされる衝撃を受け止め、それに適用する形で政策を生み出し、実行していく「適応国家」に近い。
(中略)
本稿では、日本が適応国家であるという前提に立ち、世論や内政がどのように外交・安全保障政策に影響を及ぼしてきたのかを分析する。具体的には、2010年以降、日本に大きな影響を及ぼした4つの ケースに光を当てて考察する。
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