月刊丸/アフロ
地球温暖化あるいは気候変動が国際問題として議論されるようになった1980年代から、日本は先進国の一員として、同問題への対処を求められ続けてきた。しかし、欧州諸国と違い、日本は必ずしもこの問題に積極的に取り組んできたわけではない。ところが2020年10月、菅義偉首相(当時)のカーボンニュートラル宣言を境に、日本は脱炭素に向けて舵を切り、急速に動き始めた。本稿では、気候変動に対する日本のこれまでの姿勢とその背景にあった考え方を説明し、2020年の方向転換の要因を推測する。また、今後の展開について述べる。
なお、世界の温室効果ガス総排出量のうち、エネルギー燃焼起源二酸化炭素が占める割合は7割ほどである。残りは森林減少や農耕地面積拡大など土地利用変化に起因するものや、メタンや亜酸化窒素などの二酸化炭素以外の温室効果ガスである。しかし、日本では温室効果ガス排出量の9割程度をエネルギー燃焼起源二酸化炭素が占めるため、気候変動政策とエネ ルギー政策が不可分であることは、以下を理解する上で重要な前提条件である。
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